機材についての説明

雷センサ
 Boltek社のセンサとAstrogenek社のソフトウェアNexTormを使っています。これらは予て導入を狙っていたものです。
ソフトが非常によく出来ていて、データをリアルタイムでホームページにアップロードできるようになっており、日本では数名
の方がサイトを立ち上げ連携しておられます。手の中に収まるくらいのサイズのアンテナですが、感知エリアは半径600km
もあり、複数箇所で同時観測することで、クロスベアリングによる高精度の位置決定が可能になります。
 最近、局所的な、いわゆるゲリラ豪雨が問題になっています。また、学校スポーツの落雷事故において、行政の責任を問う
判決が下ったことは大きく報道されましたから記憶に新しいところです。教育機関として、フィールドでの実習や屋外スポーツ
に熱心に取り組む学生諸君の安全を守るため、雷センサと警報システムを設置しておくことは最低限やっておくべきことでは
ないか、というのが設置の趣旨です。もちろん、京都府の財政逼迫の折、費用は私の「自助努力」です。学生諸君が安心して
実習やクラブの練習に取り組み、さらに、身近な気象現象の観測から地球環境問題全体に関心を広げてくれれば安いものです。
 NexTormの機能を拡張して登録者の携帯電話に対して警報メールを発送するシステムを整備しました。フィールド系の教
員や屋外スポーツ部のマネージャの方々に登録していただくことで落雷事故を未然に防げると期待されます。


花粉センサ
 神栄テクノロジーが開発したユニークな花粉センサを使っています。
 レーザ光散乱を利用した微粒子カウンティングシステムなのですが、散乱光の偏光特性を利用して微粒子と花粉を分別する
ところに特徴があります。分別には強度と偏光度のマトリックス解析を用いています。計測法・解析法ともに教育用として非常
に有用なので導入しました。


ADコンバータ
 私は研究用にはナショナルインスツルメンツ社のAD変換ボードを多数使っています。LabViewとの相性はもちろん最高で、
性能も申し分ありません。しかし、一枚数十万円もしますから一般教育用に導入するのは無理です。また、気象観測用のデータ
ロガーは外国メーカ数社から出ていますが、これまた非常に高価なものです。AD変換機能自体は全く大したこともないのです
が、なにしろ低温や高温多湿条件で使うことを前提にしたものですから、信頼性が保証されているわけです。気象庁のお墨付
のある製品は特に高価です。もちろん、そんなものを教育用に購入するなどナンセンスですから、安くて十分な性能のものを
選びました。本システムで使っているのは背景説明でも紹介したイギリスPicoTechnology社のADC-16です。16ビットの分
解能を持っていながらわずか2万円程度です。もちろん、高機能で使いやすいソフトウェアがついていますからPCさえあれば
すぐに使えます。本システムではLabViewのデバイスドライバを使って制御しています。
 16ビット8チャンネルのADCでこの値段は正直信じられませんが、分解してみて納得しました。1個のADCを高速アナログ
スイッチで切り替えています。遅いのは仕方がありませんが、気象センサのような応答の遅いデバイスに使うなら十分です。
外部電源なしで駆動できるうえ、センサ用のバイアス電源までついていますからとても使いやすいものです。
 PicoTechnology社のサイトにはイギリスやアメリカの高校や大学の科学教育における応用例が多数アップロードされてい
ます。


気象センサ
 UVセンサ、気圧センサ、感雨センサはイタリアの気象センサメーカであるDeltaOhm社のものを使っています。いずれも、
結構なお値段で、「学内提案公募型研究助成」のお蔭で導入することができました。改めて御礼申しあげます。気温センサ
と湿度センサはPicoTechnology社のものを使っていたのですが、研究室退去にともなう撤去作業時に破損してしまいまし
た(損害2万9千円です;;)。同じものを買おうかとも思ったのですが、学生教育が主目的ですし、とくに湿度センサは最
近非常によいものが市販されるようになったので、素子を購入して組み立てることにしました。各センサについての詳細は、
別ページに記載します。
 センサの詳細

PCカメラ
 比叡山撮影用のカメラです。市販のPCカメラは全て広角レンズですからごく小さくしか写りません。
 おまけに、画角が広すぎて日の出の太陽が直接写り込んでしまうので、受光素子が短期間で劣化してしまいます。
 そこで、マウントを改造して望遠レンズを取付けています。
 PCカメラの改造


制御用PC
 学生諸君に組み立ててもらったものです。買ったほうが安い時代ですが、教育目的です。実際、中がどうなっているのか全
く知らなかっただけに、興味津々で、デバイスドライバを組み込んで完全に動いた時の喜びは大きなものでした。連続稼働
させるので、電源はしっかりしたものを使っています。データ記録用に大容量の外付けHDDを設置しています。


開発環境
 計測制御の世界標準であるLabViewです。学生教育用に10ユーザのライセンスを購入して維持しています。研究用には、
表面プラズモン分光装置、フォトンカウンティング、レーザ共焦点顕微鏡のピエゾ制御などに使っていますが、ロックイン
アンプやフォトンカウンタやピエゾドライバといった測定機器にはたいていLabView用のデバイスドライバとサンプルプロ
グラムが添付されているので、すぐにアプリを組むことができます。大学や企業で多用されていますからユーザグループの
サポートを受けることができます。PicoTechnology社のデバイスにも全てLabViewドライバが添付されています。
 以前、DrDAQ用のドライバにバグが見つかったこともあるのですが、直接メールしたら一週間ほどで改善してくれました。
LabViewは非常に高機能ですが、教育機関用といえどもかなり高価ですから、高校や中学で購入するのは無理と思います。
高校や中学で気象センサの導入を考えておられる場合には、PicoTechnology社の添付ソフトを使えば長期記録が可能です。

データアーカイブ
 観測データはLabViewのデータファイルとして1TBのHDDに毎日自動的に累積されていきます。
 データをIgorやエクセルを使ってグラフ化すると、色々なことが見えてきます。
 典型的な例として、2007年7月14日から15日にかけての台風4号の通過にともなう気圧の変化を示します。
 気象台の情報では実感しにくい、気圧の急激な低下と回復がよくわかります。