(4)京都市市街地北部・都市近郊二次林における照葉樹林化プロセスの解明(2008〜)

 京都市周辺では、1960年代に始まった燃料革命以降、それまで京都の景観を特徴付けていたアカマツ二次林に、シイなどの常緑広葉樹が侵入し照葉樹林への遷移が進行していることが、空中写真の解析などから明らかとなってきています。しかしながら、シイをはじめとする常緑広葉樹が、二次的な森林にどのように分散し
成長しているのか、アカマツやコナラ、アベマキといった二次的な森林を元々構成する高木性樹種とどのような競合関係にあるのかといった、照葉樹林化のプロセスを解く生態的情報は乏しいのが現状です。こうした生態的情報は、京都市周辺の森林を適切に管理していく上でも非常に重要であると考えられます。今後、京都周辺の都市近郊二次林で詳細な林分調査や構成種の生態調査などを行うことによって、この地域における照葉樹林化プロセスを解明していきたいと思っています。2008年度は、最近になってシイ拡大がみられる宝ヶ池周辺の森林において新たに調査区を設け、学生たちと共に詳細な林分調査を行っています。


(写真 左:アベマキ・コナラなどの生える広葉樹林林床におけるシイの稚樹、右:実生)

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