メインの観測地は滋賀県南部に位置する桐生試験地マツ沢流域。
★着目した4つの視点
1.降雨規模の違いによる地下水位変動・地下水帯の規模の変化
2.流域の降雨流出過程の違い(3流域での比較観測)
3.不飽和斜面部での飽和側方流発生および基岩面浸透プロセス
4.流域の空間スケールの拡張と流域構成要素の変化に伴う水文化学過程の変動
これらの要因は渓流水質にどのような影響を与えるのか?
→EMMA(End-Members Mixing Analysis)を用いた解析。流出経路と物質のソースの違いにより決定される。
・洪水流出時 : riparian zoneの果たす役割の重要性(←Variable Source Area Concept)
・平水時: bedrock flowの寄与による地下水水質の鉛直分布.2層の混合モデルによる基底流水質形成.
EMMA(End-Members Mixing Analysis)とは?
上記の研究を通じて、源頭部小流域では基岩内部に浸透する地下水の量が水収支に対して大きく、また隣接流域間でもその量に違いがあることが明らかになってきた。ではその地下水はどこで回収されるのか?どんなタイミングで出てくる?その役割は?
世界規模の気候変動で、降水のパターンには変化が現れ、降水の安定同位体比はそれを反映する指標としてIAEAなどの主導で長く観測されている。しかし我々に採っており重要なのは直接利用する淡水資源、特に地下水であるが、その実態を把握することは容易ではない。特に実際に現地に赴いてサンプルを採取することに困難が伴う。そこで、世界で市販されている、採水場所の明確なミネラルウォーターを集め、その同位体比空間分布から、地下水資源の実態解明に取り組んでいる。